ばあちゃんとシロ 〜モノクロームな思い出〜

  • 2010.03.31 Wednesday
  • 06:53
1976年。中学2年の春休み、晴天。

初めて親父の形見のカメラに白黒フィルム12枚撮りをセットした。

そのカメラはヤシカエレクトロ35。

ピント合わせがマニュアルなのでバカチョンと一味違い、

高級ではないがメカニカルで興味をそそるカメラだった。

カラーフィルムは高かったので白黒フィルムにした。


自動車、バイクに興味があった俺は、首にカメラを下げて

カメラマン気取りで近くの柳沢団地へ向かった。

団地では色々な車を見かけることができるからだ。


前年秋発売の真っ赤な新車のマツダコスモAPを見つけた。

あまりに綺麗な赤い車体だったので白黒フィルムを少し悔やんだ。

さっそく慎重に初シャッターを押そうとしたその時、


「坊ちゃん、坊ちゃん」


後ろから声をかけられた。

振り向くと145センチの俺よりもずっと小さなおばあちゃんと白い老犬がいた。

それが俺とばあちゃんとシロとの最初の出会いだった。


「坊ちゃん、わしらを撮ってくれんかね」

ばあちゃんは丸いニコニコした顔で見上げながら言った。

「いいですけど、僕カメラ初めてなんで上手く撮れるかわかりませんよ」

「大丈夫、坊ちゃんなら」

「わかりました。撮ってみますね」


初シャッターがコスモAPでなく、突如として人と犬になった。

やけに緊張したのを覚えている。

それでも慎重にピントを合わせてシャッターを押した。

1枚目は、ばあちゃんが立ってシロが足元でおすわり。

2枚目は、ばあちゃんがベンチに腰掛けシロをだっこ。

ケチったのか、常識を知らなかったのかは忘れたが

2回だけシャッターを切った。


ばあちゃんは何度も何度もお礼を言ってくれた。

「写真が出来たら渡しに行きますから、お家はどこですか」

「すぐ近くだからお茶を飲みにこんかね」

何度も誘ってくれるので俺は車の撮影を一旦あきらめ、

ばあちゃんの家を覚える為、行くことにした。


2分位で着いた。パン屋の裏だった。

小さな平屋の文化住宅だった。

聞くとシロとふたりで住んでいると言った。

三ツ矢サイダーをご馳走になった。

テレビがすごく大きいのでビックリした。


出来上がったら届けると伝え、失礼しようとした時、

ばあちゃんは500円札を差し出した。

心から遠慮したが、ばあちゃんも強引だった。

当時では1本現像してもお釣りがくる金額だった。

結局俺は500円札を受け取って家を後にした。

帰りがけ、たった2回しかシャッターを押さなかったことを悔やんだ。

もっとたくさん撮ってあげればよかったと思った。

白黒写真であることも伝え忘れていた。

その後コスモAP、セリカLB、数台のバイクなど適当に撮ってしまった。

その足でカメラやに現像に出した。


数日後、写真を受け取りに行った。


「上手く撮れているだろうか」

カメラやで祈るような気持ちで写真を見たのを覚えている。

ばあちゃんとシロの写真は素晴らしい出来だった。

完全にピントや露出が合っていた。

車やバイクは逆光とかでよくなかった。

逆光を避けるため太陽を背にする事は後に知ることになり、

ばあちゃんとシロの写真2枚は正に奇跡だった。

興奮した俺は店主に頼んでお釣りで頼める範囲で大きい写真を注文した。

500円も貰って小さい写真では悪いと思ったからだ。


数日後に出来た大きい写真2枚を加え、ばあちゃんの家を訪ねた。

ばあちゃんはいた。

引き戸の玄関の土間にシロもいた。


「白黒写真だけど」

少し言い訳っぽい言い方で自信満々の写真を手渡した。

写真を見ながらばあちゃんは


「よかったなぁシロ」


シロを撫でながら満面の笑みで大喜びしてくれた。

また出してくれた三ツ矢サイダーが物凄く美味しかった。

別れ際、ばあちゃんはいつでもサイダー飲みにおいでと言ってくれた。


春休みも終わり、そんな出来事も忘れかけていた。


夏休みのある日、散歩中のばあちゃんとシロを見つけた。

声をかけたら喜んでくれて、また家に呼ばれた。


家に行くと俺が撮った写真4枚が飾られていた。

小さい写真2枚は写真立てに入れられ茶箪笥の上。

大きい写真2枚は厚紙を裏にあてセロハンに包まれて壁に貼ってあった。

サイダーを飲みながら気が付いた。

それまで、ばあちゃんの家には写真が何もなかった事に。

「坊ちゃんまたおいで」


夏休み冬休みも終わり、3年の春休みとなった。

団地で友人と談笑中にふとばあちゃんとシロを思い出した。

夏休み以来、本当に忘れていた。


「元気だろうか」


夕方訪ねてみた。

引き戸の玄関に明かりがあった。

軽く引き戸をたたきながら、「ばあちゃん、いる?」


驚いたことに引き戸を開けたのは見知らぬ中年男性だった。

「どちら様でしょう」

「以前ここに住んでいたおばあさんの知り合いです」

直感的に親族と思ったので言い過ぎたかと感じ

「いや、知り合いと言っても写真を撮っただけですが」

あわてて変な言葉で言い直した。


「あー貴方ですか、母から聞いてましたよ。

散歩で友達になった中学生に写真を撮ってもらったと」


「おばあさんはどうされてますか」


「秋に亡くなりました」


あまりに驚いて声が出なかった俺は

「シロは・・・」

小さい声をやっと搾り出した。

「シロも追いかけるように1ヶ月後に死んでしまいました」

呆然としている俺に線香を上げてほしいと言ってきた。


部屋の様子はほとんど変わっていない。

大きなテレビも茶箪笥もある。

ただテレビの横に以前はなかった小さな仏壇があった。

茶箪笥にあった2枚の写真が仏壇に置かれていた。

しみじみと写真を眺めた。


「とてもいい写真なので遺影に使わせてもらったんですよ」


後ろから言われた。嬉しかったけど複雑だった。

ばあちゃんもシロもいないのだから。


「坊ちゃんまたおいで」 

「よかったなぁシロ」


ばあちゃんとシロの心象に残る姿と声が鮮明に蘇った。


涙が強烈に溢れてきた。

こんなに出るものなのかと呆れるくらいに。

当時、泣く事は格好悪いと思っていたので口を真一文字にして耐えていた。

むせ返るような嗚咽も激しく襲ってきてしまい、どうにもならなくなった。



線香をあげて心の底からばあちゃんとシロの冥福を祈った。

そのときを最後に、この号泣を上回る経験は無い。

その後写真もたくさん撮ったが、ばあちゃんとシロを上回る物は無い。


ばあちゃんとシロの写真が見たい。


倉庫の怪

  • 2010.03.31 Wednesday
  • 03:17
取りに行く物があったのでしかたなく倉庫に行った。

22時頃だった。

上に住むおばあさんは早寝なので、すでに電気が消えていた。

俺の倉庫は怖い。特に夜は怖いのだ。

地下室へ行かねばならなかった。

深呼吸をし、気合を入れて地下室の扉を開けねばならなかった。

何とか探し物を見つけ1階に上がった。

また一部だがダンボールが崩れていた。

静かに外に出てホッと一息。


倉庫の前は高校のグランドのフェンスがある。

昼は賑やかだが夜のグランドは静寂そのものである。


自販でホットコーヒーを買い、フェンス近くに腰掛けた。

丁度良い腰掛場所があるのだ。


荷崩れに憂鬱を覚えながらタバコに火をつけた。

静寂の中、どこからかぼそぼそと声が聞こえる。

耳を澄ませど出どころがわからない。

気持ち悪い声だった。


倉庫を正面に見て立ち上がった。

まずは左に2軒ほど歩いた。

声は聞こえなくなった。

そこから反対に向き直し歩いてみた。

倉庫前ではやはり聞こえる。

倉庫からなのか。


隣りの大家さんの駐車場を過ぎた時、少し大きくなった。

無人の倉庫からでは無くてよかった。

その隣りの古い家の前で声の出どころがわかった。


その家のインターホンから発せられていた。

通話中のランプは点いてないが、あきらかに機械を通じた声質で。

年配女性のものだった。

部屋は真っ暗。

思えば未だに住んでる人を見たこと無い。

きっと俺への警告だろう。

良く聞いてやろうと耳を近づけたら「プツッ」と消えた。


左の倉庫に目をやると、驚いた。

暗いサッシの内側で更に暗い影が2つ、くねくねと動いていた。

出どころはやはり倉庫だったようだ。

倉庫に住み着く何者かが隣りのインターホンから俺に話していたのか。

こいつらが夜な夜なうごめいて荷物を崩していたのか。


来た者すべてが怖いと言う倉庫。

やはり返すか。

大相撲のこと

  • 2010.03.27 Saturday
  • 02:15
外国人関脇の把瑠都(エストニア)が大関昇進確定となった。

横綱 白鵬

大関 日馬富士、琴欧洲、把瑠都 

日本の大関である魁皇、琴光喜は現状ヨタヨタで

外国人大関並みの力はすでに無い。


41人の幕内力士に外国人が15人いる。

3人にひとり以上の割合だ。


強い外国人力士にころがされる日本人力士の姿を見続けることなる。

カプセルプラモデル

  • 2010.03.25 Thursday
  • 13:40
凄い勢いで時間が過ぎるのはなぜなのか。

さて、カプセル玩具問屋から商品リストが届いた。

カプセルプラモデルが多く見つかったようだ。

買ってみようと思ってます。


先日アップしたゴライオンは5機合体だった。

大袋で3セットしか組めずにがっかりだった。

バランスよければ20セットは組めるはずなのに。

毎度バランス悪い。

やっぱり訳あり在庫なんだろうな。


エコドライブ宣言の車

  • 2010.03.20 Saturday
  • 23:35
昼の川越街道下りは順調だった。

赤信号で止まると、俺の前にその車がいた。

リアガラスに「エコカー宣言車」とシールが貼られていた。

いわゆるエコカーと呼ばれるリッターカーだ。


信号が青に変わった。

前の車が動かない。

右の車線の車はどんどん走っていくのに。

動いていないわけではなかった。

やたらと発進が遅いのである。


いつかテレビでやっていた。

発進時のアクセルの踏み込みが多いと燃費が悪いと。

この方はエコ発進をしていたのだ。

それもイライラするほど少ない踏み込みで。

俺の後ろの車は次々と右に出て追い越していく。

さすがに俺も右に出て追い越した。

不信車輌を発見した場合、つらを拝むことにしている。

運転手はじいさんかと思ったら若者だった。

エコカー乗ってしみったれたエコ発進してどうする。


エコだ節約だと世間では良く聞くが、これではデフレは終わらないな。

プリウスばかりじゃガス屋がもたんでしょ。

CO2削減なんか二の次にして

古いカマロやケンメリでハイオク撒き散らして走らなきゃ。

エルガイムパート4入荷

  • 2010.03.19 Friday
  • 02:15
一袋(120個)入荷しました。

開封してガッカリ。

いい所ありません。

問屋のおやじさんもやってくれます。

コレクターが抜いた残骸の寄せ集めでした。

それにしてもホエールだけ66カプセルはありえない。

買わなければよかった。

反省

  • 2010.03.19 Friday
  • 02:06
昨夜はWECで闘っていた三浦のボクシング転向壮行会に顔を出した。

前田日明さんの乾杯で始まった賑やかな会であった。

そこで帰ればいいものを結局帰れなくなった。

朝帰りどころか昼帰りだ。

酒は本当に恐ろしい。

ああダメ人間。


アンティークトイ&BAR的な店を持ちたい。

そこで毎日12時間位缶詰になって過ごしたい。



              76.8(最初は減るんです)

ダイエット開始

  • 2010.03.16 Tuesday
  • 14:27
大食いなんか絶対しないのになぜか太る。

お腹周辺が太くなる。

現在常に78キロ以上で、非常に見苦しい体型となっている。

納豆ダイエットを開始しました。

朝:納豆25g×2とゴハン100gと野菜サラダで300カロリー。

昼:普通に食べるが800カロリー以内厳守。

夜:朝と一緒。

水と緑茶は、常時がぶ飲み。

ビタミン&ミネラルはサプリで摂取。

一日1500カロリーしか摂らない。

これで2週間で5キロは痩せるでしょう。

               78.5スタート


モヤモヤの1日

  • 2010.03.15 Monday
  • 01:59
昨日電話で古物の買取りの依頼があったので

本日大塚の事務所で商品を見せていただくことになっていた。

大塚の事務所は知る人は少なく、お客様も当然知りえない。


お昼頃を希望とされていたので、

「12時から13時に大塚の事務所で待機しているので

大塚駅につきましたらお電話いただければ

1、2分で車でお迎えに参上します」と伝えていた。

お客様は携帯電話をお持ちでないとの事でしたので

公衆電話から電話を下さると聞きました。


さて、11時30分に大塚事務所に到着した俺は、待つ間の時間を

有効に使おうと、中央にまとまっているガラスケース11台を壁面に

移動しようと考え、作業しながら電話を待つことにした。

待つ時間は30分から90分もあるからだ。


いざ作業に入ると狭い店内で壁面の在庫をどかし入れ替えとなるので

なかなか仕事がはかどらない。

一度在庫を1面づつでも外に出してしまえば作業は楽であるが、

到着の電話がいつ来るか分からないのでそれが出来ない。

出しっ放しでお迎えに行けないからだ。


仕方ないので什器1台分のスペースを作りながら店内のみで作業をしていた。

なかなか電話は鳴らない。

約束したのは12時から13時、とうとう13時を過ぎてしまった。


まいった。すっぽかされたか。

来れないなら電話がほしかったと思いながら、せせこましく店内での

効率の悪い作業を一旦やめた。

前扉を開放し、店外に在庫をどんどん運び出した。

一気に終わらせてやろうと考えたのだ。

20箱ほど運び出すと電話が鳴った。

13時20分だった。


遅れての到着かと思ったが、違った。

先方は12時からずっと大塚駅前で俺の迎えを待っていたとの事だった。

お互いの顔も車も携帯番号も知らない俺を待っていたのだ。

1時間20分も。

???

待ち合わせなら12時と言いますよ。

12時から13時の待ち合わせは無いですよ。普通は。


行き違いの件を少々話したが、その件は後で話すとしても、

店の外に大量の在庫を出してしまっているので、片付けるのに

10分ほど待ってほしいと伝えようとする前に電話が切れた。

公衆電話なのでコイン切れかと思う。


10分後に向かうと言う俺の話は伝わっていないだろう。

まあ、数分後には電話が来ると確信し、出したばかりの在庫を急いで

店内に仕舞い込む作業をした。

7分位で入れ終わった。お迎え準備完了、相当汗をかいた。


あれ? 待てど暮らせど電話が来ない。

果たして待っているのか、まさかなあ。

でも、1時間以上待つ人だから待ってるかも。

車で駅へ向かった。

20分は探した。

顔もわからず電話も無い、それらしい人を。

見つからない。俺はあきらめた。

何で電話をもう一度くれなかったのか。


事務所に戻り、出し入れで乱雑に積みあがった荷物を見てため息をついた。

何もやる気が起きなかった。

時計を見ると14時30分を過ぎていた。


必要最低限の通路を確保する為にしぶしぶ荷物を動かした。

そして帰ろうとしたその時、電話が鳴った。

例の人であった。


電話の後、すぐに帰ったらしい。(マイッタ)

尻切れトンボ状態で切れた電話が再び来なかったので

駅に行って探したことを伝えた。


またの機会にと、電話を切ろうとしたら今から来たいと言い出した。

今度は地図を見てバイクで来ると言うので住所を教えた。

1時間位待ったであろうか。


その方は来た。

売りたかった古いドクターペッパーのビンを3本持って。

お互い半日無駄に過ごした、コント見たいな時間に敬意を表して

3000円お渡しした。

喜んでくださったが、1本1000円の買取り額と思われたら困るので

お約束がうまく伝わらなかったお詫びが、2700円ですと告げた。

ドクターペッパーの在庫が27本に増えた。


大木もんじゃにて

  • 2010.03.11 Thursday
  • 05:47
忙しすぎて参ってます。

DEEPで勝った野地と佐伯代表と猫ひろしと大木もんじゃ行って来た。

店内がえらいことになってました。

爆笑問題の田中さん、友近、小池栄子、アズマックス、土田晃之ら

お笑い芸能の方々が小さい店内に10人いました。

前からなんだけど、特に最近は芸能人御用達の店になってるようだ。

従業員も増えちゃって、マスターはと言えば

「おう、友近」なんか言って、楽しそうにしてました。

店の味も大切だがマスターのキャラが重要なんだな。


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